吉祥文様

吉祥文様とは、おめでたい、縁起のよい模様をいい、礼装の着物や袋帯などに用いられます。動物の文様では鳳凰(ほうおう)、鶴、亀、獅子、竜など、植物の文様では牡丹(ぼたん)、松竹梅、霊芝(れいし)など、そのほか扇(おおぎ)、熨斗(のし)などがあります。

鳳凰
古くは中国で尊ばれた想像上の瑞鳥〈ずいちょう〉で、麒麟〈きりん〉・竜・亀と共に、四瑞とされています。鳥の王と位置づけられ、雄を鳳、雌を凰と称し、名君によって天下が泰平になれば現われると伝えられています。現在でも吉祥文として祝儀の衣装に多く用いられています。

色打掛


鶴は古くはたづと呼ばれ神鳥と考えられてきました「鶴は千年、亀は万年」といわれるように鶴は亀とともに長生きを象徴とする瑞鳥として尊ばれてきました。純白の羽毛と飛翔のさまの美しさ、高貴で誇り高く見える立ち姿は格別で、文様でも品位ある吉祥文様として早くから意匠化されました。有職織物では身分の高い人の衣料に使われ、庶民の間でも慶事の器物や婚礼衣装などの晴着に使われてきました。飛ぶさまを表したものを飛鶴文というほか、写実的なものや、図案化した、向鶴、雲鶴、鶴丸など、多種多様に愛用されています

色打掛け


「鶴は千年、亀は万年」といわれ、ともに長寿なところから、おめでたい文様として、留袖の裾模様に用いられたりします。また、亀甲は様々に意匠化されて、幅広く使われています。右の絵は、長生きして尾に海藻が蓑のようについた身の亀で、留袖などに用いられます。